九州旅客鉄道(JR九州)は11月19日、九州新幹線に「電力融通装置」を導入すると発表した。11月28日から運用を始める。
現在は隣り合う変電所間で送電範囲を越えて相互に電力を融通することができないが、電力融通装置を使うことで融通が可能に。回生ブレーキによって生み出された電力を、異なる変電所の送電範囲の電車を走らせるための電力として有効活用できる見込みという。
JR九州が導入する電力融通装置は日立製作所が開発したもので、九州新幹線・博多~熊本間の新鳥栖変電所と新玉東変電所の境界点となる「新みやま」き電区分所(福岡県みやま市)に設置する。
変換器はIGBT。設備容量は1.3MWで、定格電圧が57.0kV、定格電流が22.8Aになる。JR九州によると、新幹線に電力融通装置が導入されるのは、これが初めて。九州新幹線の約3%の電力使用量を有効活用できるようになるという。
現在の電車の多くは、モーターを発電機として作動させることで速度を落とす回生ブレーキを搭載。発電した電力は架線に戻し、近くを走る電車の動力として再利用する。
近くに電車が走っていない場合、発電した電気を再利用できずブレーキが効かなくなるという現象が発生してしまうため、電力を熱エネルギーに変えて捨てるしかない。電力融通装置を使うことで、こうした無駄を省くことができる。