JR九州の国際新型高速船「クイーンビートル」国内運航が可能に 沖ノ島遊覧ツアー実施



JR九州グループのJR九州高速船は3月10日、国際航路向けの新型高速船「QUEEN BEETLE(クイーンビートル)」(パナマ船籍)について、国土交通省より沿岸輸送の特許を受けたと発表した。世界遺産に認定されている沖ノ島(福岡県宗像市)を回る遊覧コースで3月20日から運航する。

JR九州高速船の新型高速船「クイーンビートル」。【画像:オースタル】

運航日は3月20・21・27日の計3日。各日とも博多港国際ターミナル(中央ふ頭)を9時45分に出航する。世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」を構成する沖ノ島と大島の2島を海上から眺め、3時間30分後の13時15分に博多港国際ターミナルに戻る。船内では「クイーンビートル」オリジナルグッズや軽食類を販売する。航行距離は154km。

乗船には旅行会社が発売する旅行商品を購入する必要がある。JR九州の法人旅行センターとHISで3月11日の10時から受け付ける。

「クイーンビートル」は、三つの船体を並べてつないだ形の三胴船(トリマラン)構造を採用した新型高速船で、定員は従来の高速船の約2.5倍。オーストラリアの造船会社で製造され、昨年2020年10月に博多港に到着した。

福岡と韓国の釜山(プサン)を結ぶ日韓国際航路で運航される計画だったが、新型コロナウイルスの影響で日韓航路が全面的に運休しており、「クイーンビートル」も福岡~釜山間での営業運航のめどは立っていない。このため国内航路での活用も検討されたが、外国船籍の船舶は法令上、国内航路で運航することができず、「クイーンビートル」は係留されたままとなっている。

JR九州高速船によると、社員の雇用や船体の維持を図る必要に迫られ、日韓定期航路再開までに限定した国内遊覧運航について国土交通省と協議を実施。国交省はJR九州高速船の厳しい状況を受け、国内遊覧運航を特許したという。