叡山電鉄700系最後のリニューアルは「1+1=2」の新観光車両 形式も変更



叡山電鉄(京都市)は9月19日、新たな観光車両「展望列車『舞』」を導入すると発表した。700系電車2両をリニューアルするもので、同社が進めてきた700系のリニューアルはこれが最後になる。

700系改め新観光車両100系「展望列車『舞』」のイメージ。【画像:叡山電鉄】

今回リニューアルされるのは724号と721号の2両。700系の従来のリニューアルでは車両形式や車両番号は変わらなかったが、開業100周年(今年2025年9月27日)にちなんで車両形式を「100系」に変更する。車両番号も724号は101号、721号は102号に変わる。

724・721号ともに1両運転用で車体両端に非貫通タイプの運転台を設けているが、今回のリニューアルで連結して2両1編成(出町柳寄りから101号+102号)に改造する。

2両編成のうち出町柳寄りは旧724号の101号になる。【画像:叡山電鉄】
鞍馬寄りは旧721号の102号になる。【画像:叡山電鉄】

外装は四季折々の移ろいゆく季節を象徴する「花の丸文様」で、叡山電車沿線で見られる花々が織りなす景観を表現。春の桃や桜、夏のアジサイと撫子、秋のもみじや萩、冬の南天を車体に描いた。

内装は着物に着想を得たデザインに。壁面には伝統柄を淡くあしらい、座席は帯、スタンションポール(握り棒)は簪(かんざし)、つり手は髪飾りに見立て、着物を彩る小物をモチーフにした。床やつり手には木調の素材を採用。沿線の山々と調和する叡山電車の姿を表現したという。

扇子柄をあしらい帯に見立てた座席シート図柄。【画像:叡山電鉄】
簪に見立てた握り棒(左)と髪飾りに見立てたつり手(中)、木調素材を採用した床(右)。【画像:叡山電鉄】

車端部には「MAI-SPOT(マイスポット)」と名付けた多目的スペースを設置。立ったまま寄りかかって休憩したり、スマートフォンを充電したりすることができる。また、鞍馬山で産出される銘石「鞍馬石」を装飾の一部に取り入れて「洛北との出会い」を感じられる工夫を施したという。

このほか、車端部に叡山電鉄としては初めて案内表示器を設置。車椅子・ベビーカースペースの設置や、ドア開閉表示灯・ドアチャイム・触知表示板の新設を行う。

案内表示器の表示イメージ。【画像:叡山電鉄】

運行開始は今年2025年中の予定。おもに鞍馬線(出町柳~鞍馬)で運行される。9月27日に八瀬比叡山口駅で開催される開業100周年記念式典にあわせ、12~13時に2両のうち1両(101号)が同駅の2番線ホームで披露される予定だ。

叡山電鉄は「パノラマ感のある窓からは四季折々の風景を楽しむことができ、日常のご利用はもちろん、観光で訪れる方にも『着物をまとって出かける時のような、明るく心弾む気持ち』を感じていただける空間を目指しています」とアピールしている。

リニューアル前の700系721号(100系102号)。【撮影:草町義和】

700系は1987年から1988年にかけ8両が製造された電車。叡山電鉄の車両としては初めて冷房装置を搭載した。デビューから30年が過ぎた2018年、700系1両を改造した観光車両「ひえい」が運行を開始。その後も1~2年に1両のペースでリニューアルが進められていた。

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