埼玉県新座市は6月12日、大江戸線の延伸区間に設けることが想定されている駅のうち、新座中央駅(仮称)の位置の検討結果を公表した。駅の位置として3案を比較し、メリットとデメリットの洗い出しを行った。

この検討で設定した新座中央駅の位置は、高低差のある馬場地区の低い位置(坂下)のA案と高い位置(坂上)のB案、関東自動車道寄りのC案。いずれも島式ホーム1面2線とし、大泉学園町駅(仮称)からのルートを考慮して高架・地下・地上の各構造案を比較した。
高架案は大泉学園町駅からトンネルで進み、途中で高架橋に変わって高架の新座中央駅に乗り入れる。地下案は大泉学園町駅から新座中央駅まですべてトンネルで整備する案。地上案は高架案に近いが新座中央駅は地上に整備する。

A案は延伸ルート上に大きな支障物がなくコスト面で優位に。一方で住宅エリアを通過することから高架橋の設置で日照・騒音の問題が発生し、導入空間の確保が懸念されるとした。



B案は新座市役所に最も近く、平林寺などの観光地へのアクセスにも優れ、駅利用者の増加が見込まれる。ただし事業延長が最も長いことからコスト面では最も劣る。高架案と地上案は急傾斜の範囲で道路空間を確保するため高架構造物の柱の高さが必要になり、材料費が高くなるとした。



C案は住宅エリアを通過する範囲が少なく、支障物件が少ないというメリットがある。また、スマートインターチェンジのような事業と一体となった複合的なまちづくりを行うことができる。コスト面でも事業延長が最も短いため優位とした。
その一方で大規模な物流倉庫に干渉するため、用地買収費などが高額になる可能性を指摘。地下案の場合は駅の深度が3案のなかで最も深くて利便性で劣り、コストも上昇するとしている。



新座市は検討結果について「新駅の位置をここで決めるというものではなく、複数個所の検討を行い、今後のまちづくり構想策定に役立てていくもの」としている。
大江戸線は、都庁前駅から東京都心部を環状して都庁前駅に戻る環状部と、都庁前駅から北西に進んで光が丘駅に至る放射部で構成される都営地下鉄の路線。このうち放射部を光が丘駅から東京都練馬区の大泉学園町や新座市を経て、JR武蔵野線の東所沢駅まで延伸することが構想されている。
練馬区内の光が丘~大泉学園町は現在整備中の都市計画道路の下を通るルートになるが、大泉学園町~東所沢はルートが確定していない。
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