北海道新幹線・羊蹄トンネル有島工区「掘削再開」岩塊撤去で7カ月ぶり、工事難航続く



鉄道・運輸機構は11月18日、北海道新幹線・新函館北斗~札幌の延伸工事について、「羊蹄トンネル(有島)他工区」(4245m)の掘削を同日から再開すると発表した。掘削中断の原因になっていた巨大な岩(岩塊)の撤去が完了した。

オールケーシング工法による岩塊撤去作業の様子。【画像:鉄道・運輸機構】

羊蹄トンネルは北海道新幹線・長万部~倶知安に設けられるトンネルの一つ。全長9750mで、長万部寄りの有島工区と倶知安寄りの比羅夫工区に分かれる。有島工区はシールドマシンを使用したSENS工法で掘削を進めていたが、岩塊の出現で4月から掘削を停止していた。

鉄道・運輸機構によると、学識経験者の意見を踏まえ、8月からオールケーシング工法で岩塊の撤去作業を開始。地上からケーシングと呼ばれる鉄製の筒を回転しながら地盤に挿入し、ケーシングのなかを掘削することで岩塊を取り除く作業を進めていた。このほど撤去が完了したことから掘削を再開したという。

撤去した岩塊。【画像:鉄道・運輸機構】

羊蹄トンネルは比羅夫工区でも2021年7月、シールドマシンが岩塊にぶつかって掘削が中断。迂回トンネルを掘って岩塊を除去する工事を行い、2023年11月に掘削を再開した。

鉄道・運輸機構によると、羊蹄トンネルは今後掘削する予定のルート上にも、シールドマシンによる掘削が停止するおそれのある岩塊が複数確認されているという。全トンネルの掘削率は今年2024年11月1日時点で80%に達したが、羊蹄トンネルは比羅夫工区が69%、有島工区が59%にとどまっている。

渡島トンネルの台場山工区。地質不良でボーリングが停止している。【画像:鉄道・運輸機構】

新函館北斗~新八雲(仮称)の渡島トンネルなど、ほかのトンネルでも地質不良でボーリングが中断するなど工事が難航。鉄道・運輸機構は5月、着工時の予定だった2030年度末の完成が「極めて困難」と国土交通省に報告している。新たな完成予定時期を示すめどもたっていない。

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