小樽博物館のED76形「部分保存」で展示再開 解体一転、ED75形はどうなる?



小樽市総合博物館は11月9日、一時は解体される予定だった北海道向け国鉄交流電気機関車2両のうち1両の展示を再開した。車体の大半を解体し、先頭部のみの部分保存に変わった。

展示を再開したED76 509。【画像:小樽市総合博物館】

展示を再開したのはED76形500番台電気機関車の509号機。従来は野ざらしの線路上で保存していたが、再開に際しては屋根がある場所に移設した。車体両端の先頭部のうち片方のみ保存し、それ以外は解体。降雪地帯の車両として標準的な装備の排雪板(スノープラウ)を下部に取り付けた。運転台の見学も可能だ。

ED76 509の運転台。【画像:小樽市総合博物館】

解体した部分はシートに描いたイラストで再現。シートの反対側には展示コーナーを設け、ED76形500番台の動輪とパンタグラフを展示している。ED76形500番台や北海道内の国鉄電化に関する解説パネルも設けた。

解体した部分はシートで再現している。【画像:小樽市総合博物館】
シートの反対側には展示コーナーを設けた。【画像:小樽市総合博物館】

小樽市総合博物館は手宮線の終点・手宮駅(1985年廃止)の跡地に整備された博物館。米国ポーター製の蒸気機関車を動態保存しているほか、北海道で運用された鉄道車両を静態保存している。

電気機関車は北海道向け交流電気機関車のうち試作機として1963年に製造されたED75形500番台1両(ED75 501)と、1968~1969年に量産されたED76形500番台1両(ED76 509)を静態保存。このうちED75 501は準鉄道記念物に指定されている。

2022年6月、JR北海道が電気機関車の機器類にポリ塩化ビフェニル(PCB)が使われていると総合博物館に連絡。同館はPCBのみ取り除いて保存・展示を継続するのは困難と判断した。昨年2023年7月から解体作業に着手。このほどED76 509の部分保存の作業を完了して展示を再開した。

解体作業が始まったころ(2023年9月)のED75 501。パンタグラフが取り外されている。【撮影:草町義和】

一方、ED75 501はPCBを取り出してみた段階で、小樽市の教育委員会が車体の保存は可能と報告。準鉄道記念物で保存の継続を求める鉄道マニアの声もあり、総合博物館は車体全体を保存、展示する方針に転換した。現在、展示の再開に向け準備を進めている。

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