大井川鉄道「神尾を狸にしてしまえ!」駅をリニューアル、企画切符や臨時準急も



大井川鉄道(静岡県)は1月15日、大井川本線の神尾駅をリニューアルする「神尾駅たぬき駅化計画」を推進すると発表した。タヌキの置物が置かれている同駅とその周辺をさらに多数のタヌキ像で埋めつくし、「他を抜く」「運をお持ち帰りいただく」聖地に位置付ける。企画切符の発売や臨時列車の運行も行う。

タヌキ像が置かれた神尾駅。【撮影:草町義和】

この計画では駅名標をリニューアル。金色をベースに赤い文字を配したものに一新する。大井川鉄道は「駅名標から神々しい雰囲気が漂ってきます」としている。

神尾駅の新しい駅名標のイメージ。【画像:大井川鉄道】

線路と通路との境界柵は「元気」や「幸せ」を呼ぶとされる黄色に着色。この通路を「たぬきロード」と命名し、すでに神尾駅や大井川鉄道に寄せられていたタヌキ像60体を設置した。一帯には像の一部に金色を施した「ゴールデンたぬき」も存在する。

大井川鉄道は「みなさまのご自宅などに眠っているたぬき像を『神尾駅たぬき駅化計画』づくりにお寄せください」と呼びかけており、タヌキ像をさらに増やす考えだ。

待合所にはカプセルトイの販売機(ガチャガチャ)を設置。発売額は1回200円で、合格駅や門出駅、神尾駅の入場券や、駅名が金色に箔押しされた合格駅の入場券とおみくじをセットにしたカプセルを販売する。

待合所に設置されたカプセルトイ販売機。【画像:大井川鉄道】

1月21日からは企画切符「開運たぬきっぷ」(880円)を金谷駅や新金谷駅などで発売。大井川本線の金谷~神尾を1日に限り自由に乗り降りできる。これに伴い「合格祈願周遊きっぷ」の販売を1月20日限りで終了する。

また、1月21日~3月24日の土曜・休日に金谷~神尾で臨時準急電車を運行。途中停車駅は新金谷・合格・門出の各駅で、金谷発8時36分・9時56分・12時25分の神尾行き3本と神尾発9時45分・11時18分・14時09分の金谷行き3本を設定する。

神尾駅とその周辺には多数のタヌキ像が置かれている。【画像:大井川鉄道】
待合所のタヌキ像。【画像:大井川鉄道】

神尾駅は1929年に開業。大井川沿いの山間部にある無人駅で、多数のタヌキ像が置かれていることで知られる。近くの神尾集落からは1kmほど離れており、1日平均の乗降人員(2018年度)は5人。

大井川鉄道によると、タヌキ像を置いたのはSL列車の初代「SL専務車掌」の故・石原〆造。石原は案内が好評で客からチップをもらうことが多く、「これは自分ひとりで使うのではなく、多くの人々を楽しませるために使おう」と決めてチップを貯め、神尾駅に信楽焼にタヌキ像を置いた。これを機に各地からタヌキ像が送られてくるようになったという。

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