名鉄は5月26日、国土交通大臣に鉄道旅客運賃の改定を申請した。全体の改定率は10%で8.9%の増収を見込む。認可された場合、同社は来年2024年3月の運賃を値上げする予定。

普通旅客運賃の上限は、初乗り(1~3km)が現行170円のところ10円値上げの180円に。49~52kmは現行880円のところ100円値上げの980円、96~100kmは現行1500円から170円値上げの1670円になる。最長距離帯(131~143km)は現行1850円より200円高い2050円。名鉄は7kmまでの区間は改定率を抑えるとしている。

定期旅客運賃の上限は通勤1カ月の場合、1kmが550円値上げの5570円。50kmでは2580円高い2万6030円になる。割引率は現行45.1%のところ44.6%に引き下げられる。通学は「家計負担に配慮」するとして現行運賃を据え置くため、割引率は現行82.2%から84.3%に引き上げられる。
知多新線・豊田線・羽島線・空港線の加算運賃は、普通旅客運賃・定期旅客運賃ともに変更しない。
名古屋本線の一部区間に設定されている暫定運賃は対象の区間や設定額を区間ごとに見直し、認可後に上限の範囲内で特定運賃を届け出る予定だ。名鉄名古屋~名鉄一宮の普通旅客運賃の場合、現行380円のところ改定後の上限は460円になるが、400円の特定運賃を設定して値上げ幅を20円に抑える。
過去の駅移設に伴い設定していた特定運賃(上飯田・西ノ口・柳津の各駅を発着する一部区間)は今回の改定にあわせて廃止し、通学定期も含め本来の距離に応じた運賃を適用する。
特定運賃と同様に認可後に届け出る予定の特別車両料金(ミューチケット、現行360円)は、「基本料金」「閑散時間帯割引料金」「車内精算料金」の3種類に分けて設定しなおす。現行料金に相当する基本料金は450円で90円の値上げだ。
車内時間帯割引料金は、名鉄のネット予約サービスで購入する場合に限り平日9~16時台と土曜・休日の料金を割り引くもので、いまより60円安い300円になる。車内精算料金は現行料金より140円高い500円だが、座席指定が可能になる。

名鉄は今年2023年3月に発表した本年度2023年度の設備投資計画で、運賃値上げの方針を示していた。同社によると、テレワークの普及などで輸送需要がコロナ前の水準には戻らず、電力料金や資材価格の高騰による経費増も懸念され、厳しい経営状況が今後も続く見込み。一方で車両の更新など事業継続に必要な投資を行う必要があることから、不足する費用の一部を客に負担してもらうため、運賃改定を申請したという。
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