京急電鉄「短距離値上げ」「長距離値下げ」運賃改定を申請 初乗り136円→150円



京急電鉄は1月13日、鉄道旅客運賃の変更認可を国土交通大臣に申請した。全体では平均10.8%の値上げだが、一部の距離帯は値下げする。認可された場合、京急電鉄は10月に運賃を改定する予定。

京急電鉄の電車。【撮影:草町義和】

普通運賃の平均改定率は10.7%。初乗り運賃は現行でIC136円・切符140円なのに対しIC・切符ともに150円とし、いまより10~14円値上げする。一方で改定率は長距離ほど低くし、41km以上では値下げに。泉岳寺~三崎口66.9kmの場合、現在はIC943円・切符950円のところ改定後はIC・切符とも740円とし、203~210円値下げする。空港線の加算運賃(50円)と座席指定料金(300円)は変更しない。

このほか、一部の区間では認可後に上限運賃より安い実施運賃を設定して国土交通大臣に届け出る予定だ。品川~横浜の場合、現行運賃がIC303円・切符310円なのに対し、改定後の上限運賃はIC347円・切符350円で40~44円の値上げ。ただし実施運賃はIC313円・切符320円とし、値上げ幅を10円に抑える。

通勤定期運賃の平均改定率は11.9%。平均割引率は現行42.2%のところ40.2%に引き下げる。普通運賃と同様に長遠距離で改定率を低くし、41km以上は値下げになる。通学定期運賃は家計に配慮するとして運賃を据え置くため、平均割引率は現行80.9%のところ82.1%に引き上げられる。

運賃改定のおもな内容。【画像:京急電鉄】

京急電鉄が運賃改定を申請するのは、消費税率の変更によるものを除くと1995年以来約28年ぶりだ。同社によると、コロナ禍の影響で利用者が大幅に減少し、今後もコロナ前の水準への回復は難しいと想定。また安全対策の設備投資が今後5年間で1年あたり265億円かかるとし、値上げにより不足する費用の一部を客に負担してもらうという。

その一方で長距離帯を値下げすることについて、京急電鉄は新たな需要創出と沿線活性化を目指すためとしている。とくに沿線の横須賀・三浦エリアは「コロナ禍に伴う郊外の居住・レジャーに対する価値観が変化し、その魅力が高まる一方、今後はさらなる人口の減少が懸念されている」とし、品川~金沢八景以遠など41km以上の区間を値下げすることで三浦半島の新規需要創出と沿線活性化に寄与したいとしている。

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