三大都市圏(東京・名古屋・大阪)のおもな鉄道社局で、終夜運転を含む年末年始の輸送計画(今年2022年12月31日~来年2023年1月1日)がほぼ出そろった。コロナ禍が続くなか前期の2021~2022年と同様、終夜運転の実施は各社局ごとに対応が分かれた。
JR東日本は終夜運転の実施線区を縮小。東京メトロは終夜運転自体を中止する。一方、名古屋市営地下鉄や京阪電鉄は3年ぶりに終夜運転を行う。おもな鉄道の終夜運転の概要は次の通り(2022年12月16日22時30分加筆)。
東京圏
JR東日本(首都圏)【○実施(縮小)】
山手線や京浜東北線、根岸線、中央線、横須賀線、総武本線、成田線の7路線で終夜運転を実施。前期より縮小し、高崎線や宇都宮線、埼京線、湘南新宿ラインでは終夜運転を行わない。実施線区の概要は次の通り。
山手線(内回り・外回り):1~5時頃(約15分間隔)
京浜東北線・根岸線(桜木町~大宮):1~4時頃(約20~50分間隔)
中央線快速(三鷹~高尾):0時30分~4時30分頃(約30~60分間隔)
中央・総武線各駅停車(三鷹~千葉):0時30分~5時頃(約10~80分間隔)
横須賀線(横浜~逗子):1~5時頃(約80分間隔)
青梅線(立川~御嶽):立川発2本(2時00分・3時15分発)、御嶽発2本(2時54分・4時08分) ※宮ノ平~沢井は通過
総武本線・成田線(千葉~成田):千葉発2本(1時15分・2時50分)、成田発2本(1時55分・3時33分) ※東千葉駅は通過
東京メトロ【×非実施(中止)】
前期の終夜運転は銀座線・浅草~上野のみ行われたが今期は全線で中止。終列車の繰り下げも実施しない。12月30日~1月3日は各線とも土曜・休日ダイヤで運転する。
都営地下鉄【×非実施(中止)】
前期は都営浅草線・浅草橋~押上で終夜運転を行ったが今期は全線で中止。終電の繰り下げも実施しない。12月30日~1月3日は土曜・休日ダイヤで運転する。
東武鉄道【×非実施(継続)】
終夜運転や終列車の繰り下げ、初列車の繰り上げは行わない。12月30日~1月3日は土曜・休日ダイヤで運転し、特急列車は土休日料金になる。1月1~3日は大師線で列車を増発。西新井発10時02分~16時53分の時間帯は通常の運転間隔が10分のところ約8~10分になる。
京成電鉄【○実施(継続)】
本線・押上線・金町線で終夜運転を実施。臨時特急「シティライナー(成田開運号)」も運転する。概要は次の通り。
本線(京成上野~京成成田):上下各9本(約20~50分間隔)
押上線・金町線(押上~京成金町):上下各9本(約20~40分間隔)
シティライナー(成田開運号)(京成上野~京成成田):上下計2本(京成上野発22時40分、京成成田発3時00分)
12月30日~1月3日は土曜・休日ダイヤを基本とし、1月1~3日は金町線で増発。「シティライナー(成田開運号)」も1月1~29日の土曜・休日を中心に日中1往復運転される。
西武鉄道【×非実施(継続)】
終夜運転は2007~2008年を最後に実施しておらず、今期2022~2023年も実施しない。終列車の延長や臨時列車の運転も行わない。12月30日~1月3日は土曜・休日ダイヤで運転。
京王電鉄【○実施(継続)】
京王線の新宿~高尾山口と新線新宿~笹塚で終夜運転を実施するほか、座席指定の臨時列車「京王ライナー迎春号」も運転する。概要は次の通り。
京王線・高尾線(新宿~高尾山口):おおむね60分間隔
京王線(新線新宿~笹塚):おおむね60分間隔
京王ライナー迎春号(新宿→高尾山口):新宿発4本(1時00分・2時00分・2時50分・4時05分)
井の頭線・相模原線・競馬場線・動物園線と京王線・北野~京王八王子では終夜運転を行わない。12月30日~1月3日は土曜・休日ダイヤ。
東急電鉄【×非実施(継続)】
終夜運転は行わない。12月31日深夜の終電後、各駅停車の臨時列車を東横線と田園都市線でそれぞれ1本運転(渋谷1時25分発の横浜行きと中央林間行き)。12月30日~1月3日は土曜・休日ダイヤで運転する。
京急電鉄【×非実施(継続)】
12月31日深夜の終夜運転と1月1日早朝の下り特急列車の増発は実施しない。12月30日~1月3日は土曜・休日ダイヤで運転。ただし京急大師線は1月1~9日の期間、列車を増発した臨時ダイヤで運行する。
小田急電鉄【×非実施(継続)】
終夜運転は行わないが1月1日早朝に臨時特急「ニューイヤーエクスプレス」や各駅停車の臨時列車を運転。このうち「ニューイヤーエクスプレス」は30000形特急電車「EXE」で運行し、「ニューイヤーの特別な愛称」を表示するという。概要は次の通り。
ニューイヤーエクスプレス1号:新宿4時45分→片瀬江ノ島5時57分
ニューイヤーエクスプレス2号:片瀬江ノ島7時31分→新宿8時47分
臨時各駅停車:町田4時30分→片瀬江ノ島5時17分
臨時各駅停車:片瀬江ノ島5時22分→相模大野6時04分
各駅停車の延長運転:(相模大野6時05分→)藤沢6時33分→片瀬江ノ島6時38分
各駅停車の延長運転:片瀬江ノ島6時44分→藤沢6時52分(→新宿7時54分)
12月30日~1月3日は土曜・休日ダイヤで運転する。
相鉄【×非実施(継続)】
終夜運転は行わない。12月30日~1月3日は土曜・休日ダイヤで運転する。
名古屋圏
JR東海(名古屋圏)【×非実施(継続)】
終夜運転は2014~2015年を最後に実施していない。
名古屋市営地下鉄【○実施(復活)】
3年ぶりに終夜運転を実施する。東山線・名城線・名港線・鶴舞線・桜通線の各線で0~5時台に約30分間隔で運行される。上飯田線は終夜運転を行わない。12月29日~1月3日は終夜運転を除き土曜・休日ダイヤで運転。
名鉄【×非実施(継続)】
終夜運転は2004~2005年を最後に実施していない。12月29日~1月3日は土曜・休日ダイヤで運転するが、12月29日は一部列車の時刻を変更する。
大阪圏
JR西日本(関西圏)【×非実施(継続)】
前期に引き続き終夜運転は行わず3時頃まで臨時列車を運転する。概要は次の通り。
JR神戸線~JR京都線(西明石~大阪~高槻~京都):0~3時頃に約20~40分間隔
奈良線(京都~城陽):0~3時頃に約30分間隔
大阪環状線(内回り・外回り):0~3時頃に約10分間隔 ※一部はJRゆめ咲線直通
JRゆめ咲線(桜島~西九条):0~3時頃に約10分間隔 ※一部は大阪環状線直通
JR東西線~学研都市線(尼崎~京橋~四条畷):0~3時頃に約30分間隔
大和路線(JR難波~王寺~奈良):0~3時頃に約30~60分間隔
万葉まほろば線(奈良~桜井):23時30分~3時頃に約30分間隔
大阪メトロ【×非実施(中止)】
前期は地下鉄・ニュートラムで終夜運転を実施したが、今期は全面的な中止が決まった。12月30日~1月3日は土曜・休日ダイヤで運転する。
近鉄【○実施(縮小)】
終夜運転は特急列車も含め、大阪線・奈良線・京都線・橿原線・天理線・けいはんな線・生駒線・信貴線・名古屋線・山田線などで実施。南大阪線や道明寺線、御所線、長野線などでは終列車の繰り下げや始発列車の繰り上げを行う。新型特急「ひのとり」を使用した特急列車やラッピング列車「ならしかトレイン」を使った列車も運転される。
吉野線や田原本線、湯の山線、志摩線では終夜運転を行わない。鳥羽線は前期は全線で終夜運転を実施したが、今期は五十鈴川~鳥羽の運転を取りやめる。概要は次の通り。
特急(大阪難波・大阪上本町~五十鈴川):11本(大阪難波→五十鈴川は約60分間隔、五十鈴川→大阪上本町・大阪難波は約60~120分間隔)
特急(京都→宇治山田):1本(1時台)
特急(五十鈴川→京都):1本(3時台)
特急(京都・大和西大寺→橿原神宮前):2本(0・3時台)
特急(橿原神宮前→京都・大和西大寺):2本(1・4時台)
特急(大和西大寺→京都):1本(0時台)
特急(大阪阿部野橋→橿原神宮前):1本(2時台)
特急(橿原神宮前→大阪阿部野橋):1本(1時台)
特急(近鉄名古屋→五十鈴川):4本(22時台・0~2時台)
特急(五十鈴川→近鉄名古屋):5本(2~5時台)
大阪線(大阪上本町~榛原・名張):23本(約30分間隔)
奈良線(大阪難波~近鉄奈良):29本(約20~30分間隔)
京都線・橿原線(京都・新田辺~大和西大寺~橿原神宮前):33本(約20~30分間隔)
京都線・橿原線・天理線(京都・平端~天理):16本(約30~50分間隔)
けいはんな線(長田~学研奈良登美ヶ丘):23本(約30~60分間隔)
生駒線(生駒~王寺):6本(約80~100分間隔)
信貴線(河内山本~信貴山口):20本(約30分間隔)
生駒ケーブル(鳥居前~宝山寺):54往復(約10分間隔)
西信貴ケーブル(信貴山口~高安山):29往復(約20~30分間隔)
名古屋線(近鉄名古屋~近鉄四日市~伊勢中川):6本(下り0~2時台、上り2~4時台)
山田線・鳥羽線(伊勢中川~五十鈴川):20本(約30分間隔)
南大阪線(大阪阿部野橋~橿原神宮前):15本(大阪阿部野橋発2時20分まで約30分間隔、橿原神宮前発1時40分まで約30分間隔、古市行き最終列車は橿原神宮前発3時25分)
道明寺線(道明寺~柏原):12本(道明寺発2時34分まで約20~40分間隔、柏原発2時42分発まで約20~40分間隔)
御所線(尺土~近鉄御所):7本(尺土発3時37分まで約50分間隔、近鉄御所発2時45分発まで約50分間隔)
南大阪線・長野線(大阪阿部野橋・古市~河内長野):8本(古市発2時28分発まで約30分間隔、河内長野発2時50分発まで約30分間隔)
生駒ケーブル(宝山寺~生駒山上):18往復(5時30分頃から約10~20分間隔)
葛城山ロープウェイ(葛城登山口~葛城山上):8往復(5時10分頃から約30分間隔)
鈴鹿線(平田町~伊勢若松):2本(最終列車の繰り下げ・始発列車の繰り上げ)
京阪電鉄【○実施(復活)】
京阪線(京阪本線・鴨東線・中之島線・交野線・宇治線)と石清水八幡宮参道ケーブルで3年ぶりに終夜運転を行う。大津線では終夜運転は行わない。終夜運転の復活を記念し、12月27日から31日まで8000系電車の3編成にヘッドマークを取り付けて運転する。
京阪線は12月30日と31日(~18時)は土曜・休日ダイヤで運行。12月31日18時から1月1日7時までは終夜運転を含む「大みそかダイヤ」を実施し、1月1日の7時から3日まで「正月ダイヤ」で運行する。大津線は12月30日から1月3日まで土曜・休日ダイヤになる。終夜運転を実施する各線の運転間隔(12月31日23時~1月1日5時)は次の通り。
京阪本線・鴨東線(準急・普通):約20~30分間隔
中之島線(普通):約30~40分間隔
交野線・宇治線(普通):約30~40分間隔
石清水八幡宮参道ケーブル:約5~15分間隔
このほか、京阪本線・鴨東線では淀屋橋発23時台まで特急を約20~25分間隔で運転。急行も淀屋橋発1時まで約20~30分間隔、出町柳発2時台まで約20~30分間隔で運転する。
正月ダイヤでは京橋~七条ノンストップの快速特急「洛楽」を午前に5本(京都方面)、午後に4本(大阪方面)運転する。「プレミアムカー」を連結した8000系と3000系電車は大みそかダイヤでは特急や一部の急行で運行。正月ダイヤでは快速特急「洛楽」や特急、一部の急行として運転する。
南海電鉄【×非実施(継続)】
終夜運転は実施しない。南海本線・難波~高石で2時半頃まで終列車を延長する。12月30日~1月3日は土曜・休日ダイヤ。ただし1月1~3日は空港急行・区間急行の合計51本が住吉大社駅に臨時停車する。
阪急電鉄【×非実施(継続)】
終夜運転は行わない。12月30日~1月3日は土曜・休日ダイヤで運行する。
阪神電鉄【×非実施(継続)】
終夜運転は行わない。12月30日~1月3日は通常の土曜・休日ダイヤで運行する。
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