長崎電軌「値上げ」認可、10月1日から 超低床車の導入や停留場の改良進める



長崎電軌の超低床式車両。【撮影:草町義和】

国土交通省の九州運輸局は9月3日、長崎電軌が申請していた旅客運賃の上限変更を申請通り認可したと発表した。10月1日に運賃が値上げされる。

長崎電軌は6月23日に上限変更認可を申請。上限運賃は普通旅客運賃が140円で、いまより10円の値上げになる。実際に適用される運賃(実施運賃)も上限運賃と同額で設定される。値上げによる増収率(2021~2023年度)は、新型コロナウイルスの影響がないという条件で6.32%。

長崎電軌によると、近年のインバウンド需要などのプラス要因はあったものの、地元利用者は少子高齢化や若年者の県外流出による人口の減少などのマイナス要因があり、輸送人員は1994年度をピークに減少している。

その一方、全国相互利用サービスに対応した交通系ICカードの導入による利便性の向上や、交通バリアフリー法に対応するための超低床式車両の導入などが収支を圧迫。「多額の資金と減価償却費の増加による非常に厳しい経営状況」が見込まれるとして運賃の値上げを申請したという。

同社は利用者サービスの向上策としてバリアフリーに適合した超低床車の導入や停留場の改良などを進める方針。2022年度には超低床車を1両導入するほか、車両の車外行先表示のLED化と長崎駅前停留場の改良を予定している。2023年度以降も低床式車両を継続的に導入するほか、西町変電所の更新や停留場の改良を計画している。

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