鉄道趣味団体「鉄道友の会」は5月26日、2021年の「ブルーリボン賞」「ローレル賞」を選定したと発表した。ブルーリボン賞は近鉄の80000系特急型電車「ひのとり」が受賞。ローレル賞はJR東日本のE261系特急型電車とJR東海のN700Sが受賞した。2年連続で両賞とも特急用の車両で占められた。
近鉄80000系「ひのとり」は、大阪難波~近鉄名古屋間の名阪特急用として開発された新型車両。先頭車はハイデッカー構造のプレミアム車両で、本革表地の3列シートを配置。デッキ部にはカフェスポットを設けた。座席はすべてバックシェルが設けられている。友の会は「完成度が極めて高く魅力あふれる車両」としてブルーリボン賞に選定したとしている。
JR東日本E261系は、東京・新宿~伊豆急下田間の新しい特急「サフィール踊り子」向けに開発された車両。全席グリーン車で、通常のグリーン車よりグレードアップしたプレミアムグリーン車や、個室タイプのグリーン車、食堂車を連結。すべての台車にフルアクティブ動揺防止制御装置およびヨーダンパを搭載して乗り心地の向上を図った。友の会は「最新技術を取り入れ、付加価値の高い移動空間と輸送ネットワークを提供する極めて完成度が高い車両」と評価した。
JR東海が東海道・山陽新幹線向けに導入したN700Sは、N700Aに続く13年ぶりのフルモデルチェンジ車。現在は16両編成だが、床下機器の小型化により編成を柔軟に組み替えることが可能で、九州新幹線長崎ルート(西九州新幹線)には6両編成で導入することが計画されている。座席は背もたれと座面の連動して動く構造を採用して座り心地の向上を図った。友の会は「技術、サービスの向上で日々多くの乗客を快適、安定的に輸送する車両」と評価した。
鉄道車両におけるブルーリボン賞とローレル賞は、友の会が毎年1回、前年中に営業運転に就いた新型車、もしくは新型車と見なせる改造車の中から選定している賞。ブルーリボン賞は会員の投票結果に基づいて選考委員会が審議し、最優秀と認めた車両を選定。ローレル賞も会員の投票を参考に、選考委員会が優秀と認めた車両を選んでいる。