東武野田線「高架化」工事のいま 野田市内の単線区間、もうすぐ踏切解消

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千葉県野田市内で進められている東武鉄道野田線(東武アーバンパークライン)の高架化工事が、最盛期を迎えている。本年度2020年度末には、線路の高架線への切替が行われる予定。10月31日、野田市内の高架橋を見て回った。

野田市駅の西側に姿を現した高架橋。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

■単線のまま高架化

柏駅から大宮行きの上り列車に乗車。しばらく複線の線路を走っていたが、運河駅を過ぎると上下の列車が1本の線路を共同で使う単線に変わった。運河駅の北側にある利根運河を渡ると野田市内に入る。

東武アーバンパークラインの柏~清水公園間。野田市内の線路の高架化(赤)が進められている。【画像:国土地理院地図/加工:鉄道プレスネット編集部】

次の梅郷駅からしばらくは複線だったが、同駅から約900m先にある平成やよい通りとの交差部手前で再び単線に戻った。

平成やよい通りをくぐった先で現在の線路が東側(右)にずれ、高架橋へのアプローチが構築されている。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

平成やよい通りを抜けると、進行方向左側に高架橋の構造物が見えてきた。単線分の幅しかない。どうせなら高架化とあわせて複線化も行えばいいのにと思う。

野田市内の高架化工事は、国や自治体が事業費の大半を拠出する連続立体交差事業(連立事業)として行われているが、連立事業は踏切渋滞の解消など道路交通の改善がおもな目的の事業。そのため、元の線路が単線なら、線路を高架化する費用も単線分しか拠出されない。高架化と同時に複線化するなら、基本的には鉄道事業者が複線化分の費用を全額負担する必要がある。

線路の脇に単線の高架橋ができあがっていた。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

高架橋は徐々に高度を上げていく一方、地上の線路を走る列車は速度を落としていき、野田市駅のホームで停車した。

■まず「1面2線分」を高架化

野田市駅は1面2線の島式ホーム、その東側に保守作業用の車両を留置する線路があり、西側の駅舎とホームは線路をくぐる地下通路で結ばれている。ホームの屋根は、島式ホームでは標準的なものとなったV字型やW字型ではなく、昔ながらの三角型で、ちょっとした懐かしさを覚える。

三角屋根に覆われている野田市駅の2・3番線ホーム。将来的にはこの部分も高架ホームが建設される。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

そしてホームの西側には、大柄な高架橋が姿を現していた。高架上のホームと地上をつなぐ階段のスペースも見える。

かつて1番線ホームがあった場所に建設された野田市駅の高架橋。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

野田市駅は連立事業の着手前、西側から駅舎~1番線ホーム(単式)~1番線(上り線)~2番線(下り線)~2・3番線ホーム(島式)~3番線(予備の線路)~車両留置用の線路~保守車両用の線路の順で並んでいた。駅舎から1番線までは撤去され、そのスペースに高架橋を建設されている。そのため、現在あるホームは2・3番線だけ。上り線は2番線、下り線は3番線に移っている。

高架橋は事業着手前の駅構内より幅が狭い。実は2020年度末に予定されている高架線への切替では、すべての高架橋の工事が完了するわけではない。まず島式ホーム1面2線分のみ使用を開始し、その後、現在の2・3番線ホームを撤去。空いたスペースに高架ホームをもうひとつ建設して、事業着手前と同じ数のホーム・線路を確保することになっている。

駅の外に出てみると、遠くに円筒形の大きなタンクがあり、六角形の内側に「萬」の字を入れたマークが取り付けられているのが見える。ここに来るまで野田がしょうゆの街であり、キッコーマンの本拠地であることを失念していた。

駅前に出るとキッコーマンのマークが取り付けられたタンクが見える。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

駅舎はいかにも工事現場の詰所のようなプレハブ構造で、レンガ調の外観が特徴だった旧駅舎は撤去されて跡形もない。その脇で、グレーのシートに覆われた高架橋がそびえ立っている。

プレハブの仮設駅舎。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

高架駅舎は旧駅舎や、興風会館など野田市内のレトロな建築物を取り込んだデザインで装飾される計画だ。

ホームが設置される部分の高架橋はシートで覆われている。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
高架化完了後の野田市駅のイメージ。【画像:野田市】

■ホームのすぐ前にアプローチ

再び大宮行きの上り列車に乗って、次の愛宕駅へ。進行方向左側の車窓は高架橋で遮られている。ほんの1分ほどで到着した愛宕駅は、事業着手前と同じ相対式ホーム2面2線の構造。ただし仮設のホームと線路で、ホームの床を踏むと、かすかにポコポコと音がして揺れる。駅の東側にある駅舎もプレハブだ。この「仮設地帯」の西側が元のホームと線路があった場所で、いまは大柄な高架橋が姿を見せている。

高架橋(右)と仮設ホーム(左)。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
駅の東側。ここにも仮設の駅舎(左)がある。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

近くの歩道橋から高架橋を眺めてみた。駅の部分はホームだけでなく線路ごと覆う鉄骨が構築されている。側壁に遮られていて線路の敷設状況は分からないが、架線と架線柱はまだ設置されておらず、電気関係の工事はこれからのようだ。

愛宕駅の高架橋はホームと線路を覆う鉄骨が姿を見せていた。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

愛宕駅で3度目となる大宮行き上り列車に乗車。脇の高架橋は徐々に低くなっていく。途中には架線柱や信号機らしきものが数本、高架橋に設置されているのが見えた。

もうすぐ清水公園駅。脇の高架橋には架線柱や信号機らしきものが見えた。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

列車は2分ほどで清水公園駅に到着。ここも野田市駅と同様、単式ホームと島式ホームを組み合わせた2面3線だったが、連立事業の実施に伴い1番線ホームは使用停止。2・3番線ホームは2015年に改修されている。

清水公園駅も現在は2・3番線ホーム(右)のみ使用中。1番線ホーム(左)は使用停止の状態。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

ホームの南端(柏寄り)に行ってみると、高架橋へのアプローチ部がすぐ目の前にあり、線路が敷設されているのも見えた。連立事業の実施区間は清水公園駅の手前が終点のため、同駅自体は事業完了後も地上駅のままになる。

ホームの端から線路の敷かれた高架橋のアプローチ部が見える。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

千葉県を事業主体とする野田市内の連立事業は、2005年の都市計画決定と2008年3月31日の事業認可を経て着手した。事業費は約353億円。このうち29億円を東武鉄道が負担し、残り324億円を国や千葉県などが負担する。

当初は2015年度に高架化工事を完了し、2017年度中に事業を完了させる予定だったが、現在は本年度2020年度末の営業線の高架切替を予定しており、この時点で11カ所の踏切が解消される。

その後、2023年度の中頃には、野田市駅東側の高架橋が完成してホームが二つになる見込み。付帯工事なども含めた事業完了は2023年度末の予定だ。

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