渋谷駅を10年間「空撮」写真展開催 刻々と変わる街並み、「羽田新ルート」の飛行機も



渋谷区文化総合センター大和田「ギャラリー大和田」(東京都渋谷区)で8月7日から、写真展「空鉄(そらてつ) うつろい 渋谷駅10年間の上空観察」が開催されている。

吉永陽一さんと東急東横線の地上ホームがあった頃の渋谷駅の空撮写真。【撮影:吉永陽一/会場撮影:草町義和】

カメラマンの吉永陽一さんが2010年から今年2020年まで撮影した、渋谷駅とその周辺の空撮写真を約30点展示。地上からは見えにくい建築物の屋根の部分なども見え、街並みが刻々と変化していく様子がはっきりと映し出されている。東京国際空港(羽田空港)の新飛行ルート(今年3月開設)で渋谷上空を通る飛行機の姿も捉えた。

吉永さんによると、駅と街並みの変化が分かりやすいよう、同じ向きで撮影する「定点観測」を心がけた。変化したところやなくなるところを地上で観察してから、空撮に望んだという。

撮影していてうれしかったのは「電車の先頭部分が思い描いた通りの場所に来たとき」。困ったのは雲の影が現れたときで、「雲影と晴れが混在していると明暗差がありすぎて、空撮写真としては厳しくなる」という。

渋谷駅とその周辺が刻々と変化していく様子を捉えている。【撮影:吉永陽一/会場撮影:草町義和】

吉永さんは子供の頃から渋谷在住。「最初は漠然と地元を撮っていたが、2013年の東急電鉄東横線地下化と東急百貨店東横店東館の閉館を気に、目に見えて故郷の駅が変化すると肌で感じ、じっくりと観察し克明に記録していこうと決めた」。

渋谷駅は、JR東日本の山手線を中心に東京地下鉄(東京メトロ)、東急電鉄、京王電鉄の各線が乗り入れている。2008年の東京メトロ副都心線開業を機に、渋谷駅と同駅周辺の再開発プロジェクトが本格的に始動した。

2012年、渋谷駅東口側の東急文化会館跡地に複合商業ビル「渋谷ヒカリエ」がオープン。翌2013年には、JR渋谷駅の東側地上にあった東急東横線の渋谷駅が明治通り地下に移転し、東京メトロ副都心線との相互直通運転が始まった。

その後、東急東横線の旧駅・旧線跡地には、これまでに渋谷ストリームや渋谷ブリッジなどのビルや商業施設が完成。今年2020年6月には、JRの埼京線や湘南新宿ラインが発着するホームが山手線ホームの脇に移設された。現在も山手線の内外回りホームの一体化や、JR線をまたぐ駅ビルの工事が進められている。

吉永さんは「今後も空撮していきます。渋谷駅は地元であり故郷であるので、完成まで見届けます」と話した。

写真展の開催期間は8月15日まで。時間は各日12時から20時までで、吉永さんは期間中、毎日在廊する予定だ。入場は無料。

会期は8月15日まで。【会場撮影:草町義和】