JR西日本は11月22日、関西空港アクセス特急「はるか」の運行区間を拡大し、京都駅の一つ隣の山科駅まで乗り入れさせると発表した。山科駅を「京の東の玄関口」に位置付けて改良し、京都駅の混雑緩和を図る。
計画では12両編成に対応したホームを山科駅の北側に1面増設。これに伴い柵内コンコースと跨線橋を延伸し、エスカレーターとエレベーターも整備する。また、同駅の米原・近江塩津寄りに引上線を整備。駅構内の配線も変更する。
工事は2025年度に着手し、2029年度の使用開始を目指す。これに伴い、現在は京都駅を発着している「はるか」の運行区間を山科駅まで拡大し、関西空港→3番線ホーム→引上線→2番線ホーム→関西空港のパターンで折り返す。
JRの山科駅は東海道本線(琵琶湖線)と湖西線が乗り入れている駅。駅の南側には京都市営地下鉄東西線の山科駅と京阪京津線の京阪山科駅もあり、公共交通の結節点になっている。現在の特急「はるか」は野洲・草津・京都~関西空港で上下各30本が運行されており、山科駅にも停車する。しかし大半は京都発着で、山科駅に停車する「はるか」は下り3本・上り2本しかない。
関西空港方面から京都発着の「はるか」を利用して京都エリアに向かう場合、山陰本線(嵯峨野線)やJR奈良線、京都市営地下鉄烏丸線、近鉄京都線などの駅なら京都駅での1回の乗り換えで行くことができる。山科駅まで乗り入れるようになると、京都市営地下鉄東西線の駅へも山科駅から1回の乗り換えで行ける。
JR西日本は京都市と連携し、京都駅の混雑緩和策として新しい橋上駅舎と自由通路の整備を計画しており、2031年度には使用開始の予定。ほかにも利用者分散を目的に山科駅の活用を促す情報発信を行っており、同駅の改良計画と「はるか」乗り入れはこれを一歩進める形になる。
JR西日本は「引き続き、京都市と連携し、山科駅周辺の魅力向上・利便性向上の検討を進め、いきいきとしたまち・持続可能な観光地域の実現をめざしてまいります」としている。
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