西武鉄道40000系「ロング仕様」30両増備 2021年度設備投資計画、地下化や高架化なども推進



西武鉄道の40000系。【画像:西武鉄道】

西武鉄道は5月13日、本年度2021年度の鉄道事業設備投資計画を発表した。総額214億円。車両の増備や連続立体交差事業(連立事業)の推進などを行う。

安全対策では、内方線付き点状ブロックの整備やホーム隙間転落検知システムの設置、ホームドアの整備検討などを行う。

内方線付き点状ブロック1日の乗降人員が3000人以上の駅について2020年度までに整備が完了している。本年度は1日3000人未満の3駅(競艇場前駅・多摩湖駅・西武園ゆうえんち駅)に整備する。ホーム隙間転落検知システムは本年度、稲荷山公園駅の1番ホームに設置する。

ホームドアは2020年度までに1日の乗降人員10万人以上の全駅に設置した。西武鉄道は本年度以降も「国および自治体等の関係機関と調整を図り、引き続き設置を検討してまいります」としているが、具体的な駅は挙げていない。

このほか、線路に面した法面(のりめん)の改良や、落石防護設備の設置、変電所の機器更新、車両や駅へのLED照明の導入などを実施。踏切支障検知装置は、従来の「線」で検知する光電指式から「面」で検知する2D式に更新した高機能タイプを本年度は10カ所の踏切に設置する。

線路を高架化・地下化して踏切を解消する連立事業は、新宿線の中井~野方間(地下化)と東村山駅付近(高架化)で引き続き推進する。中井~野方間は区間始終端取付部の土木工事や駅部の仮設工事を実施。東村山駅付近では駅部・一般部の高架橋構築工事や新宿線終点方下り線、国分寺線、西武園線の仮線路切替工事を行う。

東村山駅で進む高架化工事。【撮影:草町義和】

駅施設の改良は、ひばりヶ丘駅と多磨駅のリニューアルを引き続き推進する。ひばりヶ丘駅は2020年度までに駅舎改良工事の旅客トイレ・南口エスカレーター改修が完了。駅ナカ商業施設「エミオひばりヶ丘」では、今年2021年夏のオープンを目指して店舗増床・既存店舗改修が進められている。改修前と比べ約7割の増床が予定されている。

西武池袋線のひばりヶ丘駅。【画像:西武鉄道】
西武多摩川線の多磨駅。【画像:西武鉄道】

多磨駅の改良事業は2020年度に橋上駅舎と自由通路の使用を開始。本年度2021年度の事業完了を予定している。このリニューアルで新たに東口を新設され、構内踏切を廃止。ホームの拡幅により混雑緩和と安全性向上が図られる。エレベーターやエスカレーターなどのバリアフリー施設の整備で利便性が向上するという。

西武山口線の西武園ゆうえんち駅。【画像:西武鉄道】

まもなくリニューアルオープンする遊園地「西武園ゆうえんち」の最寄駅(西武園ゆうえんち駅)も、自動改札機の増設や旅客トイレの改修などが行われる。

40000系の「パートナーゾーン」。【画像:西武鉄道】

車両は40000系電車を3編成30両増備する。40000系はロングシートとクロスシートの両方に転換できるデュアルシートを設けた車両とロングシートのみの車両の2種類あるが、本年度の増備分はロングシート仕様の40000系。車椅子・ベビーカーの利用者や大きな荷物を持っている客に対応したスペース「パートナーゾーン」が設けられる。