JR九州「量子コンピューター」活用を検証 鉄道車両運用計画の最適化・自動化



JR九州は2月9日、量子コンピューターなどの技術を活用して鉄道車両の運用の最適化や自動化を図る検証プロジェクトを開始したと発表した。

福北ゆたか線や若松線で運用されている鉄道車両のBEC819系「DENCHA(デンチャ)」。【撮影:草町義和】

この検証プロジェクトは、おもにJR九州の福北ゆたか線・若松線を走る鉄道車両を対象に実施。コンピューター開発会社のグルーヴノーツが提供するクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」を活用する。

量子コンピュータやAI(人工知能)などの先端技術や、高度な数理モデルなどを使った車両最適化のシミュレーションモデルを構築し、鉄道車両の運用計画の最適化・自動化の実用化を目指す。将来的にはほかの路線への拡大や需要予測などのプロジェクトも進めるという。

鉄道車両の運用は、基本となるダイヤ(列車運行計画)に基づいて計画がまとめられる。その際、車両の編成組み替えや検査・清掃作業などの制約を踏まえ、熟練者が経験によって鉄道車両の編成や割り当てを決めている。

JR九州によると、同社は新型コロナウイルス感染症の長期化により、鉄道事業における抜本的なコスト削減が急務。このプロジェクトにより車両の保有数を削減できれば、車両の維持コストや将来の老朽化による車両の更新にかかる設備投資を抑えることにつながるとしている。