目黒線8両編成化や終電繰り上げ、ワンマン拡大も 東急電鉄2020年度設備投資計画



東急電鉄は11月10日、本年度2020年度の設備投資計画の概要を発表した。安全関係の施設の改良などのほか、終電の繰り上げによる作業時間の確保などを実施する。

8両編成化が計画されている東急目黒線。【撮影:草町義和】

安全・安心に関する設備投資では、車内防犯カメラの設置や3D式踏切障害物検知装置の設置、線路脇斜面のコンクリート補強、換気口のかさ上げ、新型車両の導入、バリアフリー整備を行う。

車内防犯カメラは蛍光灯一体型カメラを導入し、7月25日にこどもの国線を除く1247両への導入が完了した。3D式踏切障害物検知装置は83カ所に設置済みで、本年度2020年度は12カ所への設置を予定している。新型車両は田園都市線向けの2020系電車の導入を引き続き進め、従来車両の8500系電車の置き換えを進める。

田園都市線を走る2020系。【撮影:草町義和】
引退が進む田園都市線の8500系。【撮影:草町義和】

快適性向上とネットワーク拡大に関する設備投資では、池上駅の橋上化が実施され、改札内の踏切が解消された。日吉~新横浜~羽沢横浜国大間を結ぶ相鉄・東急直通線(東急新横浜線と相鉄新横浜線)は、2022年度下期開業に向け引き続き計画を進める。

2022年度下期の開業を目指し工事中の相鉄・東急直通線。【撮影:草町義和】

目黒線では、現在の6両編成を2両増やして8両編成にする輸送力増強計画を推進。車庫の整備や2両追加分のホームドアの整備を行う。

このほか、ホームドアなど設備の増加で保守点検の量が拡大していることから、夜間作業の時間や人員の確保を図るため、終電時刻を繰り上げる。来年2021年3月のダイヤ改正で、こどもの国線を除く全線で15~30分程度の繰り上げを行う。始発の繰り下げは行わない。これにより深夜・未明の工事作業時間を約2割増やす。終電の繰り上げで影響する利用者は、東急線1日当たり利用者の約0.3%になるという。

東急線は新型コロナウイルスの緊急事態宣言期間中、利用者数が前年に比べ最大75%程度減少した。宣言解除後の今年2020年7~9月も前年比30%減前後で推移。とくに深夜0時台の利用者がほぼ半減しており、都心方面への通勤需要が減少しているという。東急電鉄はテレワークの普及など「新た生活様式」の定着により、利用者数がコロナ禍以前に戻ることはないとみている。

また、ホームドアや信号システムを活用した高度な運行の実現を目指し、目黒線などで導入しているワンマン運転の実施拡大に向けた検討を進める。