きょうデビュー「ウエストエクスプレス銀河」寝台車のような車内「切符」の買い方は?



JR西日本の新しい長距離列車「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」が、きょう9月11日から運行を始める。新型コロナウイルスの影響を受け、4カ月遅れの運行開始。「切符」の販売方法も当面変更される。

「ウエストエクスプレス銀河」とその車内。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

「ウエストエクスプレス銀河」は、JR西日本が計画した新しいタイプの長距離列車。「TWILIGHT EXPRESS(トワイライトエクスプレス)瑞風」のようなクルーズトレインとは異なり、低価格で利用できるのが特徴だ。

11月までは夜行特急「ウエストエクスプレス銀河」として、下りは京都→出雲市間、上りは出雲市→大阪間で運行。運行日は下り京都発が9月11日~11月27日の月・金曜日(10月23・26日、11月9日除く)、上り出雲市発が9月12日~11月28日の水・土曜日(10月24・28日、11月11日除く)になる。

停車駅と時刻は次の通り。一部の駅では30分前後の長時間停車を行い、買い物などを楽しめるようにする。

●下り(京都→出雲市)
京都:21時15分発
新大阪:22時07分着・22時17分発
大阪:22時21分着・22時28分発
三ノ宮:22時50分着・22時51分発
神戸:22時53分着・22時55分発
西明石:23時12分着・23時15分発
姫路:0時40分着・0時42分発(京都発金曜は23時48分着・0時42分発)
生山:6時02分着・6時34分発
米子:7時46分着・7時56分発(京都発金曜は7時46分着・8時18分発)
安来:8時04分着・8時28分発(京都発金曜は8時26分着・8時28分発)
松江:8時45分着・8時48分発
玉造温泉:9時01分着・9時02分発
宍道:9時15分着・9時17分発
出雲市:9時31分着

●上り(出雲市→大阪)
出雲市:16時00分発
宍道:16時15分着・16時16分発
玉造温泉:16時27分着・16時30分発
松江:16時37分着・17時05分発
安来:17時27分着・17時29分発
米子:17時38分着・17時48分発
根雨:18時25分着・18時58分発
備中高梁:21時25分着・22時00分発
神戸:5時46分着・5時47分発
三ノ宮:5時50分着・5時51分発
大阪:6時12分着

12月から来年2021年3月までは、大阪~下関間を走る昼行特急として運行される予定だ。

■オール座席車だが「寝台風」の座席も

「ウエストエクスプレス銀河」の車両は、国鉄時代に製造された普通列車用117系電車を改造したもの。おもに普通車とグリーン車で構成された6両編成だ。営業上の扱いは全席指定の座席車だが、夜行列車としての運行にも対応できるよう「寝台風」の座席も設けている。

「ウエストエクスプレス銀河」は6両編成。117系を改造した。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

普通車はリクライニングシートとノビノビ座席「クシェット」、コンパートメント「ファミリーキャビン」の3種類ある。リクライニングシート(2・3号車、2号車は女性席)は横2+2列のリクライニング席だが、標準的な特急列車の座席よりも前後の間隔を広く取っており、リクライニング角度も深くしている。

普通車(リクライニングシート)。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

クシェット(2・5号車、2号車は女性席)は、かつての寝台列車に連結されていた、開放2段式B寝台と同じ構造。一つのボックスに上下2段のフルフラット席が二つ設けられている。5号車には車椅子対応タイプのクシェットもあり、こちらはボックス内の床を広くとり、1段ベッドを二つ組み合わせた構成だ。

普通車(ノビノビ座席)の「クシェット」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

車椅子対応「クシェット」もある。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

ファミリーキャビン(3号車)は大きなベンチシートを設けた、広さが約5平方mある半個室タイプの座席。ベンチシートはマットレスのように広げることができる。構造上は1室4人まで利用でき、3~4人のグループで利用する場合に販売される。

普通車(コンパートメント)の「ファミリーキャビン」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

寝具セット時の「ファミリーキャビン」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

グリーン車は「ファーストシート」とグリーン個室「プレミアルーム」の2種類。ファーストシート(1号車)は一つのボックスに向かい合う2席を配置した構造で、ボックスの中央には大型の折りたたみ式テーブルを設置している。夜行列車として運転する場合は定員を1ボックス一人とし、背もたれを倒すことで寝台タイプのフルフラット席に転換できる。

グリーン車「ファーストシート」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
フルフラットに転換した「ファーストシート」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

プレミアルーム(6号車)は、1室2~3人用(夜行運転時は二人用)と1室一人用の個室。中央通路の両脇に個室を設けているが、通路側の壁を斜めにすることで個室内のスペースを広げた。窓のほうを向いたベンチ型の座席は寝台タイプに転換することができる。

グリーン個室「プレミアルーム」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

寝具セット時の「プレミアルーム」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
一人用の「プレミアルーム」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

4号車はほぼすべてのスペースが「遊星」と名付けられたフリースペースに。室内は常時明るくし、昼夜問わず過ごすことができる。一部のテーブルには、将棋やチェスの盤面が刻印されており、駒を持ち寄れば対戦できる。

フリースペース「遊星」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

このほか、3号車の一部にフリースペース「明星」、6号車の運転台後方にもフリースペース「彗星」が設けられている。1号車の運転台後方のラウンジスペースは、グリーン車の利用者専用だ。

3号車のフリースペース「明星」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

6号車のフリースペース「彗星」。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
1号車のグリーン車専用ラウンジ。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

なお、すべての席に電源コンセントが設置されているほか、グリーン車にはUSBポートも設置。公衆無線LAN(Wi-Fi)も無料で利用できる。女性用更衣室や車椅子対応トイレ、大型荷物置場も設けられている。

■当面は「旅行商品専用」に

「ウエストエクスプレス銀河」は当初、5月8日から一般の臨時列車として運行される計画で、乗車券のほか特急券やグリーン券を買えば利用できるはずだった。

車内の案内図。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、運行開始が4カ月後の9月11日に延期。さらに当面は旅行会社の日本旅行が販売する旅行商品の専用列車として運行されることになった。駅などの切符売場では当面のあいだ、「ウエストエクスプレス銀河」の特急券やグリーン券を購入できない。

日本旅行のウェブサイトによると、旅行代金は商品の内容によって異なる。往復「ウエストエクスプレス銀河」利用の車中2泊コースの場合、大阪~出雲市間の普通車指定席(「クシェット」「ファミリーキャビン」含む)での往復利用で一人あたり3万1100円。グリーン車指定席「ファーストシート」利用は一人あたり片道3700円、グリーン個室「プレミアルーム」利用は一人あたり片道6800円が、それぞれ加算される。

京都発着の2泊(うち車中1泊)コースで往路が「ウエストエクスプレス銀河」、復路が特急「やくも」と山陽新幹線の場合、京都~出雲市間は普通車指定席の利用で一人あたり3~4万円程度になる。

「ウエストエクスプレス銀河」は9月11日から運航される。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

「ウエストエクスプレス銀河」を利用する旅行商品は9月出発分と10月出発分の受付が終了。11月出発分は、9月18日の11時から受付を開始する予定だ。日本旅行ウェブサイトのほか日本旅行・日本旅行リテイリングの店舗でも受け付ける。先着順ではなく事前抽選で募集し、当選者に販売する形になる。