自宅で楽しめる?「鉄道が出てくる」作品5選 テレビ・映画・アニメ



新型コロナウイルス緊急事態宣言の延長はほぼ確定的で、家に閉じこもる日も続きそうだ。そうしたなかで、多くのニュースサイトが動画サイトで配信されている映画など、外出することなく自宅で楽しめるコンテンツを紹介する記事を公開している。

映画『戦国自衛隊』に登場する市振駅。【撮影:草町義和】

鉄道プレスネットでも「鉄道にちなんだおすすめの映画を紹介しよう」という話になったが、鉄道をメインのテーマや舞台に据えた映画なら、「鉄道」というキーワードを入力してちょっと検索すれば、簡単に見つかるだろう。

そこで鉄道がメインのテーマや舞台ではないものの、「鉄道が出てくるテレビ番組や映画、アニメ作品」を五つ選んでみた。

※記事中の各作品のリンクは「Amazon Prime Video」だが、それ以外の動画サイトでも配信されている場合がある。

Top Gear(トップ・ギア)

『トップ・ギア』は英国の有名な自動車情報番組、というより「自動車バラエティ番組」といったほうが正しいだろうか。当然ながら自動車がメインのテレビ番組だが、鉄道に関係する話もある。

2008年に放映されたシーズン11のエピソード4は、トップ・ギア初の日本ロケ。石川県羽咋市の海岸から交通安全の守り本尊「百尺観音」がある千葉県の鋸山まで、日産GT-Rと公共交通機関のどちらが早く着くのかを競う話だ。

番組の映像を見る限り、GT-Rは北陸自動車道~上信越自動車道~関越自動車道~首都高速~東京湾アクアラインなどを経由している。一方、公共交通のルートは特急『サンダーバード』で京都へ向かい、ここから東海道新幹線で新横浜駅へ。横浜市営地下鉄ブルーラインと京急線、東京湾フェリー、鋸山ロープウェイを乗り継いだようだ。

なぜ北陸新幹線を利用しないのかと一瞬思ったが、放映当時の北陸新幹線は長野止まりだった。放映から12年がたち、鉄道網の変化が垣間見えてくる。

2011年放映のシーズン17・エピソード4では、鉄道車両の製造コスト削減案として、自動車を鉄道車両に改造(タイヤを鉄道用の車輪に変更)し、実際に走らせている。

改造の種車はジャガーXJSとアウディS8。このうちアウディS8は客車に改造したトレーラーハウスを複数連結して、正真正銘の「列車」として走らせた。

ジャガーXJSとアウディS8が走ったのは英国内の鉄道だが、日本の鉄道会社にこんな話を持ち込んでも、おそらくOKが出ないだろう。お国柄の違いというものを思い知らされる。

高校教師

『高校教師』は野島伸司脚本のテレビドラマ。1993年版と2003年版があるが、ここでは1993年版を紹介する。日常のシーンでは、京王帝都電鉄(現在の京王電鉄)の駅や電車がよく登場する。

最終話「永遠の眠りの中で」では、特急「あさま」や信越本線の普通列車に乗って青海川駅(新潟県柏崎市)へ向かうシーンなどが描かれている。当時は北陸新幹線が全線未開業で、「あさま」はもちろん在来線特急時代の姿だ。

信越本線の普通列車は、いまも一部の地域で運転されている115系電車だが、新潟エリアでは新型のE129系電車への置き換えが進んでおり、風前のともしび。ちょっと懐かしい気分に浸ることができる。

大鉄人17

大鉄人17』は1977年に放映された、巨大ロボット「ワンセブン」が活躍する特撮テレビ番組。第18話「恐怖の夏休み!暴走する新幹線」と第19話「夏休みのプレゼント!ワンセブン超特急」では、東海道・山陽新幹線「ひかり23号」の0系電車が変形してロボットになる。

のちのテレビアニメ『勇者特急マイトガイン』や『新幹線変形ロボ シンカリオン』の元祖的な存在といえるだろうか。ただし『大鉄人17』の新幹線ロボは悪役側。しかも0系電車がベースになっているため、悪役側なのにかわいらしいデザインなのが少し笑える。

ちなみに、この第18・19話に出演するゲスト子役の役名は「のぞみ」。東海道新幹線で「のぞみ」の運転が始まったのは、「大鉄人17」の放映から15年後の1992年で、偶然とはいえちょっと驚いてしまう。

戦国自衛隊

戦国自衛隊』は1979年公開の映画。戦国時代にタイムスリップしてしまった自衛隊員の恋人を、とある駅のホームで待ち続ける女性(演じているのは女優の岡田奈々)が描かれている。

ホーム上にある縦型の駅名標には「いまぶり」という平仮名4文字が見えるものの、そんな名前の駅は実在しないはず。おそらく常磐線のどこかの駅だと思い込んでいたが、実際は北陸本線の市振駅(新潟県上越市)だった。2年ほど前に市振駅を訪ねたところ、映像に出てきた線路脇にあるレンガ造りのランプ小屋が、いまも残っているのが確認できた。

北陸本線は北陸新幹線の開業に伴い直江津~金沢間が第三セクター化され、新潟県と富山県の県境近くにある市振駅も、新潟の第三セクター・えちごトキめき鉄道と富山の第三セクター・あいの風とやま鉄道の営業上の境界駅に変わっている。

無敵超人ザンボット3

ザンボット3』は1977~1978年に放映されたロボットアニメ。第16話「人間爆弾の恐怖」では、冒頭で仙台駅と同駅に入線する列車を描いている。ただ、いまの目で見ると、作画はかなり適当だ。

列車は車体の色からみて、当時の東北地方の国鉄線で運用されていた455系急行型電車のように見えるが、運転台の窓の構造はキハ58系急行型気動車(初期の平面ガラスタイプ)に近いような気がするし、側面のドアは両開きで、片開きドアを採用していた455系やキハ58系とは異なる。

車両の番号は「クハHI-491」と記されているように見えるが、当時の国鉄車両の記号番号はカタカナと数字の組み合わせで、アルファベットは使っていない。ただ、放映から25年後の2002年に製造されたJR東日本のE491系電車は、「クモヤE491-1」というようにカタカナ・アルファベット・数字の組み合わせになっている。急行型ではなく線路や架線などを検測する業務用の車両だが。

最近のアニメは鉄道をリアルに描いている作品が多い。実物の写真や動画をベースにCGで作り込むことができるようになったためといえるが、『ザンボット3』が制作された当時は、当然ながらそんなことはできなかっただろう。アニメで鉄道がどう描かれてきたか、そしてどう発展していったか、作画の歴史を見るのにちょうどいいかもしれない。

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おすすめの作品というよりは、単に鉄道がどの程度出てきて、どういう風に描かれているかを紹介するだけになってしまった。『大鉄人17』と『無敵超人ザンボット3』はいちおう子供向けの作品だし、子供がいる家庭なら親子一緒に楽しむのもいいかもしれない。