京成「新型有料特急」押上~成田空港で運行 イメージ公表、都営浅草線への乗り入れは?



京成電鉄は5月21日、成田空港アクセス列車として「新型有料特急」を導入するとし、設計に着手したと発表した。現在の成田空港アクセス特急「スカイライナー」とは別の列車で、運行区間はスカイライナーが京成上野~成田空港なのに対し、新型有料特急は押上~成田空港を結ぶ。運行開始時期は2028年度の予定。

中期経営計画で公表された新型有料特急のイメージ。【画像:京成電鉄】

京成電鉄が同日公表した中期経営計画(2025~2027年度)に盛り込んだ。同社は新型有料特急の導入により、成田空港の機能強化に対応するための輸送力増強や押上~成田空港のアクセス向上、押上方面の新規需要の獲得を目指す。押上には京成グループのバス路線やホテルがあり、京成電鉄は「エリア価値向上と各事業へのシナジー効果が期待できる」としている。

押上駅は都営浅草線と京成押上線の接続地点で両線の相互直通運転も行われている。都営浅草線のような地下鉄など幅が狭いトンネルがある鉄道路線を走る車両は、非常時の脱出用として先頭部にドアを設けることが多い。2代目スカイライナーのAE100形電車も都営浅草線への乗り入れを想定し、先頭部に非常用のドアを設けていた。ただし営業運転で都営浅草線に乗り入れたことはなく、2016年までに引退している。

2代目スカイライナーのAE100形。先頭部に非常用のドアが設けられていた。【撮影:草町義和】

中期経営計画で公表された新型有料特急のイメージの場合、先頭部は丸みを帯びた形状だが、中央部の中ほどから下にかけて縦の線が入っているほか、先頭下部・連結器上部は向かって左側のみ横の線がかすかに見える。この線をドアの境界部と考えた場合、先頭部の向かって左側に非常ドアを設置するとみられる。設計着手時点の初期イメージのため今後変更される可能性もあるが、当面の運行区間は押上~成田空港としつつ、将来の都営浅草線への乗り入れも想定して設計を進める可能性がある。

一方、京成電鉄の経営統括部は鉄道プレスネットの取材に対し、都営浅草線への乗り入れについては「現在言えることはない」と話した。

丸みを帯びた形状の先頭部に非常ドアを設けた例としては、西武鉄道の特急「ラビュー」に導入された001系電車がある。001系も将来の地下鉄への乗り入れを想定して非常ドアを設けたが、いまのところ乗り入れ運転は行われていない。

西武鉄道の新型特急001系電車「ラビュー」。先頭部は丸みを帯びた形状だが向かって左側に非常ドアが設置されている。【撮影:未来鉄道データベース】

成田空港は年間発着回数を現在の30万回から50万回に拡大するため、B滑走路の延伸とC滑走路の新設に向けて工事中。2028年度末には使用を開始する予定だ。さらに滑走路の延伸・新設後には、旅客ターミナルを1カ所に統合する新旅客ターミナルの整備(ワンターミナル化)を図ることも構想されている。このため鉄道を含む空港アクセスの強化が課題になっている。

京成電鉄は今回発表した中期経営計画で、空港アクセスの強化に関する「京成グループとしての考え方」を公表。「事業エリア全体で大規模かつ多種多様な投資が必要となっている」とし、その例として新型有料特急に加え「京成高砂駅付近の改良」「既設路線の改良を検討」「単線区間の複線化」「新旅客ターミナルに伴う駅整備」「宗吾車両基地拡充(工事中)」などを挙げている。また、現在は8両編成で運行しているスカイライナーについて、「次期スカイライナー車両」は長編成化を含めた輸送力増強を視野に入れるとしている。

※追記(2025年5月21日21時08分):校閲前と校閲後の原稿の接合ミスのため内容に誤りがあり、該当部分を修正しました。

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